
友だちがすっごく安くiPhone買えた!って喜んでたんだけど、そんなに安いの??
モバイル業界での3月は商戦期。
1年の中で最もおトクにスマホが手に入ると言っても過言ではありません。
たしかにそうなんですが2022年のキャンペーンは破格、いや、異常だったと言えるでしょう。
本記事では楽天モバイルに勤める筆者が、モバイル業界における3月商戦期の状況を語っていきます。
特に今回顕著だったのがiPhone投げ売り販売。こちらにスポットを当てて紹介していきます。



【経歴】
・ソフトバンクに8年勤め、その経験を活かし楽天モバイルに転職
・モバイル業界にまつわるさまざまな疑問についてお答えします


iPhoneの投げ売りってなに?


グレードやモデルにもよりますが、iPhone決して安い機種ではありません。
このiPhoneが普通では考えられない価格で購入できたのが3月商戦期でした(4月以降も引き続きキャンペーンを継続している店舗もあります)。
元の価格に比べるとタダ同然という意味で「投げ売り」と呼ばせていただきます。
- 一括〇〇円
- 実質〇〇円
- レンタルで〇〇円
…などなど投げ売りにもさまざまなものがあります。
いずれも通常価格から大幅値引きされて販売されておりました。
以下の画像をご覧ください。


まず我が楽天モバイルでおこなっていたキャンペーンですが、iPhone SE(第2世代)が一括1円。
ちなみにiPhone SE(第2世代)の定価は44,800円です。
さらに楽天ポイントが5,000ポイントついてきます。それはそれはものすごい勢いで売れました(笑)。


続いてヨドバシカメラに足を運んでみました。
左のポスターのiPhone 12は、定価94,485円が一括9,800円。
右に写っているiPhone SE(第3世代)はレンタルで1円です。
レンタル1円での購入は少し注意しましょう。



レンタルなのに「購入」ってどういうこと?
- iPhone本体を48回分割にする
- 分割支払い1回目〜23回目まで割引適用で支払額ゼロ
- 支払い24回目にiPhone本体を返却すれば残りの支払いもゼロになる
- 返却したくない場合はそのまま残りの本体代金を支払い続ける
レンタルで1円とはiPhone本体の返却が条件のこと。
悲しいことに自分のものにはならないんですね。
しかし、「2年に1回はiPhoneを買い替えているな」という人には良いキャンペーンだと思います。



iPhone SE(第3世代)の発売は2022年3月17日。
まさか2週間ほどで自分が1円で売り出されるとは思わなかったでしょうね…。
なぜiPhoneをこんなに安くできるのか?


知り合いの家電量販店に勤めるスタッフ数人に話を聞いたところ、
「そういうキャンペーンだから」
「なぜこんなに安くできるのか正直自分たちにも知らない」
「忙しすぎるのでカンベンして…」
だそうです。大盛況なようですね。
しかし、iPhoneを安売りできる理由は闇に包まれたまま。
おそらく以下の説が有力です(自分調べ)。
- 在庫処分するため
- 在庫を売り切らないとAppleに怒られるため
- 怒られるどころか新iPhoneの取り扱いをさせてくれないため
スマホといえばiPhoneと言ってもいいでしょう。
そのくらい日本におけるiPhoneの存在価値は高まっていると筆者は日々感じております。
そんな中、Appleから
「現行モデルを売り切らないと新しいiPhoneの取り扱いできないようにしちゃうよ〜?」
なんて言われたら恐怖でしかありません。
iPhoneはモバイル業界での生命線ですからね。
大幅値引きをしてでも売り切りたいと思うわけです。
値引きの負担をするのは各キャリアですから、Appleは痛くもかゆくもありません。
ちなみにApple公式サイトで購入すると定価で購入することになります。



…という推測です。
でもあながち間違っていないのでは。
だってこの時期のキャリアの担当営業さん、大体ピリピリしてるし!
iPhone投げ売りに対してMVNO業界団体は怒ってます


iPhoneユーザーにとってiPhoneが安く手に入るのは良いことではあります。
しかし「iPhoneの投げ売りという現状は健全ではない」「規制すべき」と苦言を呈する方もいます。
その声をあげているのが、格安SIMを推進するMVNO業界団体です。
高額の違約金を伴う期間拘束契約や通信サービスと端末のセット販売などMNOによる旧来のビジネスからの脱却を先導し、移動通信市場の競争を活性化させることで、消費者の選択肢の多様化や、利便性の向上大きく寄与してきた。2021年9月末時点で、MVNOの契約数は2,619万、その移動通信市場におけるシェアは13.2%となっており、これは、MVNOに対する消費者の認知が進み、また利用するサービスの選択肢として一定の支持を得た結果であると言える。
一般社団法人テレコムサービス協会 MVNO委員会:『MVNOの事業環境の整備に関する政策提言2022』
以上が格安SIMの果たす役割だと述べています。
これらを達成するために国としておこなってきたのが、2019年の電気通信事業法改正。
iPhoneやスマホ本体を購入するには通信サービスの契約を必須とすることやめましょう!と言っているわけです。
他にも、利用者本意の移動通信業界を目指す取り組みを推進しています。
- 端末を購入した利用者に対する、通信料金の割引等の利益提供の禁止
- 2年縛り等の拘束性の高い通信契約を結んだ利用者に限定して端末価格の割引その他の利益提供の禁止
- 拘束性に関係なく、通信契約を結んだ利用者に対し2万円をこえる額の端末価格の割引その他の利益提供の禁止
- 2年を超える期間拘束の禁止と、それ以外の場合でも解約金上限額の設定(1,000円)
- 1年を超える自動更新プランにより通信料金を下げる際には差額は月額170円まで
- 長期利用者を対象とした割引については、1年あたり1ヶ月分の料金額を上限とする
このように、さまざまな規制を設けました。
「おトクにしてあげるから、こういう契約をしてね!」ってことを言ってはいけなくなったんですね。
それにもかかわらず、近年のモバイル市場は規制に逆行している現状が見受けられます。
これに対してMVNO業界団体は怒っているんですね。



iPhoneが一括1円で販売されている現状を見ると、
「規制前に戻ってるじゃん!」「通信と端末のセット販売になっちゃってる!」という感じになってるんです。
iPhone投げ売りに対して楽天モバイルスタッフが思うこと


・近年iPhoneに代表されるスマホの投げ売りが増えている
・投げ売りするのはメーカー側からの圧力がかかっているから?
・MVNO(格安SIM)の業界団体は投げ売りに対して良い印象を持っていない
・転売を誘発する原因になる
・禁止事項を違反してもキャリア側に課す厳しい罰則等がない
このiPhone投げ売りについて、モバイル業界で仕事をさせていただいている筆者の感想としては
正直どうでもいいです(笑)。
iPhoneを買いに来てくれるお客さんがいっぱい来てくれてうれしいなぁ、というのが本音。
ただし…
購入したiPhoneを購入者本人がそのまま利用するかというと、かなり怪しいです。
スマホ中古買取業者などに転売されているケースが往々にしてあると思うのです。
というより転売目的の方ばかりでしょう。
MVNO業界団体の意見としても、「詐欺グループや反社会的団体の資金源になるおそれもあるため容認できない」と述べられているほどです。



悪いことをしているわけではないんですが、これが健全かと言われると肯定はできないですね。
iPhoneが激安価格で販売されるのも規制強化により減少していくと思います。


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